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しなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第1弾

固定概念を変えることが新規事業に!駅ナカの成功事例

駅は、乗り降りや乗り継ぎをするために通り過ぎる場所でしたが、近年都市部の駅では「駅ナカ」スタイルが増えてきています。 今や東京駅の「駅ナカ」は一大ショッピングスペースと化しており、土産品だけでなく日用品の購入や食事処としても多くの人を呼び込んでいます。  そしてこのような場ができると、自然と人の行動も変わっていきます。 これまでは最寄り駅のスーパーマーケットで夕食の食材を購入していた人が、乗り継ぎの駅構内で総菜を購入して変える場合も出てきます。 この変化は、駅に対する認識を変え、駅という場所にさらなる可能性をもたらすことになります。

このように、ひとつの変化が人々の認識を変え、固定概念であったものや場所自体の意味合いを拡大して新たな市場ができていくことがあります。 通勤時、帰省時、休日の立ち寄り場所など、駅を使う多様なシーンにあわせた店が並んでいることが、利用の仕方を広げて行きます。  使われるシーンは顧客と店側の接点でもあります。どのような接点があるか、すなわちどのような関わりがつくれる場所なのかを考えることが、人の立ち寄りをつくりだしていきます。

ある本屋では、店内にオブジェとして置いたこたつが実際に使われるようになり、それを契機として顧客同士の交流が生まれる場所となりました。 当初から想定していたわけではないものの、現在では交流の場としての注目も集めつつあります。

提供者側が考え、企画していく際に「余白」を持っておくことが可能性を広げる場合があります。「余白」の在り方は、企画ごとに異なります。 顧客の反応を見ながら変化していく余地の場合もありますし、「駅ナカ」のように初めから多様な通行客を前提に幅広い「接点」を考える中に含まれることもあります。 当初から「余白」を持たなかったとしても、こたつのような反応が生じたときに、それを取り込んでいく受容性と言う余白もあるでしょう。いずれにせよ、すべてを想定しきれるものではないという前提で、変化を取り込み、広がりにしていくというスタンスが重要になるでしょう。

著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司

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