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TKP研修ネットしなやかな組織づくり~次世代の経営・マネジメント~ 第1弾
名刺交換をするときに、「実はこちらの名刺もあるんです」と2枚目、3枚目の名刺を出されたことはないでしょうか。NPO活動や地元の町おこし活動など、「肩書き」を複数持っている人は珍しくありません。
日本能率協会では、企業に勤めながら別組織の顔を持つ人3人に集まって、座談会を催したことがあります。収入を得ている組織は企業ひとつですが、ある人は合同会社の役員立場であるディレクターの名刺を、ある人は大勢のOBを束ねる高校同窓会の事務局長の名刺をと、別組織でもある種の“仕事”を行っています。
本業の企業組織へのコミットメントが低いわけではありません。本業組織での勤務時間中に2枚目の名刺の“仕事”をすることはなく、きちんと使い分けています。
一方、2枚目の名刺があることで、本業ではなかなか出会えない人にアポイントをとったり、本業では経験したことのない業務を行うことができる幅の広がりを、3人とも座談会では言及していました。
「プロボノ」という言葉があります。これは「社会人が自らの専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動」と『知恵蔵2013』(朝日新聞社)では提議されており、語源はラテン語の「Pro bono publico(公益のために)」からきているものです。
基本的には無償または低報酬で行い、ボランティア活動と重なる部分もあります。しかしプロボノと呼ぶときには、職能を活かし、仕事として取り組む意識が強く出ています。
プロボノ活動をする人は、平日の夜や週末に第二、第三の活動をしています。物理的に“仕事”が増えて忙しい状況を自らつくり出しているのはなぜでしょうか。
先の座談会に参加した3人の方に、こうした社外活動を行う理由について「社会貢献的」か「自身のため」かを聞いたところ、3人とも第一義には自身のためという答えがかえってきました。
活動することで得られる充実感、新たな経験から得られる経験やスキルによる自己成長、結果として仕事に役立つこともあれば、社会との新たなパイプを持つ機会にもなるという点で、自身に返ってくるものも大きいのです。
一方、3人ともプロボノ活動を始めたきっかけは大げさではなく、知り合いに誘われたという程度です。しかし、複数組織にポジションを持つことは、視野を広げ、様々な社会接点を持つことになり、それがごく当然に持てる環境として、プロボノ活動を続けています。それは3人に限ったことではなく、身近に増えている動きなのです。
著:日本能率協会 KAIKAプロジェクト室 山崎賢司